長田染工場さんを訪ねに出雲へ
長田染工場さんを訪ねに出雲へ行って来ました。鹿児島の出水に用事があり、そこから新幹線と特急で松江へ向かい一泊。松江城や小泉八雲ゆかりの地を巡り、出雲へ向かいました。山陰地方は初めてでしたが、風土、人々、食べ物どれもがたおやかで美しかったです。(旅の詳細はInstagramで。)
長田染工場さんの長田茂伸さんと長田匡央さんを知ったのは、先日亡くなられた染織家の吉岡幸雄さんの藍に関する本ででした。もともと染色、特に藍染が好きで興味を持っていたところ、matohuさんが来春夏コレクションのテーマが藍とされており、藍への関心が高まり色々と調べたり本を読んでいました。そこで知ったのが筒描藍染を出雲の地で受け継ぐ、長田染工場さんでした。
丁度山陰地方の窯元さんや酒蔵さんを訪ねる予定があり、調べるとなんと宿泊先のすぐ近くに長田染工場さんがあることを発見。お便りをお送りし見学させて頂き旨をお伝えしたところ、快く受け入れてくださいました。
天然の染料で藍染をされているところはもうだいぶ少ないそうです。そもそも藍を育て、藍染の素となる"すくも"というものをつくる方が少なく、今はかつて産地として賑わった徳島と播磨で、細々と、しかし意識を持った方々がしっかりと受け継いでいるそうです。
長田さんは播磨から藍を取り寄せて染められています。藍の瓶は5つあり、それぞれ発酵の具合が異なり、徐々に濃く染まるよう、ひとつひとつ手作業で染めてゆきます。藍の管理、染めと乾かし、日々藍とつきっきりとなります。
長田染工場さんの特徴は筒描藍染。このような筒を使って出雲ならではの吉祥文様や絵柄、文字などを描きます。藍の濃淡と筒描きの白で、鮮やかで活き活きとした、且つ落ち着いて品のある風合いが生み出されます。
長田さん親子に藍染めの歴史や現況、出雲の風土や風習などについて色々とお話を聞かせて頂きました。なかでも印象的だったのが、筒描藍染とは出雲だけの伝統なのではなく、かつて日本全国で盛んだった藍染が衰退しそれが出雲の地に残ったのであって、筒描藍染の伝統は日本の藍染の伝統そのものだということでした。徳島や播磨の藍、筒描きに用いる筒をつくる職人、染める人、売り歩く人、買う人。それらが合わさってこそ伝統や文化の継承が成されるということに改めて気付かされました。
そして天然の染料で染めることの素晴らしさ。人と共にこの世に存在する植物や鉱物。それら親和性はいうことなく良いのであって、やはりそこに人も安らぎと美しさを見出します。手間がかかっても、本当のものは残る。その手間こそが真の人の営みのであり、先祖たちが伝えてきたものなのではないでしょうか。そのような文化の伝承を筒描藍染を通して行われる長田さん親子の姿に感動しました。
これから当ギャラリーでも長田染工場さんの作品を扱わせて頂けることになりました。うつわに合う素敵なコースターやランチョンマット、ティーマットなどを入荷予定です。皆様お楽しみに。
0コメント