今川酢造さんを訪ねに金沢へ

生活になくてはならない調味料。よく《さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(醬油)・そ(味噌)》といいますよね。そのなかでも私が特に好きなお酢をつくられている方が金沢におられます。今川酢造さんは創業まもなく百年の老舗のお酢の蔵元さん。ある時取り寄せて食してみて、そのあまりの美味しさに感動。その奥深く豊かな味わい、そしてしっかりと酸っぱく、でもお料理とお口に親しみやすいまろやかさ。調べてみると昔ながらのこだわりの製法でお酢をつくられているそう。これはいつかお会いしお話を伺ってみたいと思っていました。そして今回念願叶い訪問させて頂きました。


まず驚いたのがお酢が貯蔵してある蔵に入った時。酸味のある優しい空気に包まれた瞬間、体が一気に弛緩しリラックス、細胞が喜んでいることを実感したのです。これは凄いぞ!

ご当主の今川英雄さんが優しく丁寧にお酢づくりについて説明してくださいました。今川酢造さんはお酢の原料となる日本酒からご自身でつくられます。そして仕込んだお酢はタンクでゆっくり醗酵する、静置醗酵法という天然醸造法で造られており、この方法は今では数少ない造り方となっています。毎日温度の管理や発酵の具合に気を付け、優しく手を入れ見守るその様子は、まるで親が子供に接するようです。大変時間と手間がかかりますが、そのため醸造の過程での様々な豊かなエキスも生まれ、旨味と酸味の調和した独特の味が醸されるのです。


お酢づくりについてお話してくださる、英雄さんの素朴な語り口。話題はものづくり全般、食べることや生きること、伝統と歴史、こらからの家庭や社会について。「自分はそれしか知らないから」と謙遜されるなかに滲む、確固とした意志。お酢の味と同じく、優しく、芯が通って、きりっとした、そのお姿。ああ、この人が、このお酢をつくるのだな、と納得しました。このお酢と共に生きよう、生きてゆけるんだと、幸せな思いに包まれました。


これから有り難くも、gallery桃李にて今川酢造さんのお酢やポン酢を取り扱わせて頂けることとなりました。東京で直接買えるのは当店だけです。是非ご家庭の食卓に、素晴らしいお酢を。

神宮前 gallery 桃李

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