角花家さんのお塩に出会いに珠洲へ

調味料のなかでも全ての基となる、ひいては人間が生きるうえでなくてはならない、塩。シンプルなだけに特徴も多岐にわたり、日本世界各地に様々な塩があります。そのなかでも出会って味に感動、そのつくり方に感心したのが、角花家さんがつくられる、《能登のはま塩》というお塩。お便りを交わさせて頂き、この度訪問させて頂けることとなりました。


能登半島の最北、珠洲地域でただ一軒、揚げ浜式という方法で塩づくりを守り続けてきた角花家さん。目の前に広がる日本海から海水を汲み、桶や柄杓を使い、手作業で塩田に海水を撒きます。そして乾いて出来た塩が付いた土を塩田の真ん中にある木の枠の中に入れ、そこにまた海水を加え濾過します。木枠に繋がった樋からは塩分濃度が濃くなった海水が流れ出し、それをすくって釜で炊き、ようやくお塩が出来上がります。非常な手間暇と技術を要するのに加え、天候にも大きく左右されます。雨の期間は塩田が使えず、海も毎日穏やかという訳にはいきません。一年のうち塩づくりが出来るのは、せいぜい100日程度だそうです。でも自然は寛大で豊か、しっかりと恵をもたらしてくれます。こうして出来たお塩、とにかく旨味が強いのです。そして同時に感じるすっと、きりっとした塩辛さ。それに続く海の風味。しっかりお塩の個性がありながらも、お料理にすっと馴染む安心感があるのです。


色々と見させ、お話させて頂いた、現ご当主の角花洋さん。塩づくりに対して、食をめぐる環境に関して、穏やかながらも熱く語ってくださいました。そこから溢れていたのは美味しいお塩、そしてそれを食べてくれる方々に対する、優しく、そして自信に満ちた思い。「塩は料理の基本だから、それが家庭の味になって引き継がれる。うちの塩じゃないと、という方々が有り難くも多く、それが代々続くんです。」引き継がれる塩づくり、食、味、命。


大切につくられた貴重なお塩。通常は二、三ヶ月待ちという販売状況なのですが、洋さんのご厚意により、まず三袋を特別に分けて頂きました。洋さんの所以外で直接手にとって買えるのは当店だけとのこと。素敵なお塩を、素敵な食卓にお届け出来れば。そしてそこに、素敵なうつわも。

神宮前 gallery 桃李

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